Introduction

1938年ナチスドイツに併合されるオーストリアを舞台に、
17歳の青年、精神分析学者フロイト、キオスク店主など時代の渦中で
懸命に生きる人々を描く感動作!



本作はオーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによるベストセラー小説「キオスク」を作者本人が戯曲化し、ウィーンで初演されました。本作は、ウィーンのキオスク(タバコ店)で働くことになった17歳の青年フランツの、さまざまな大人たちとの交流や初恋を通じた波乱の成長を描き、彼がウィーンで出会った愛するものを通して政治、世情と向き合う物語です。

舞台となる1937年から1938年にかけてのオーストリアは、ナチスドイツが台頭し、ヒトラーによるホロコーストが始まり、人種差別が横行する世界。そんな時代に多感な時期を過ごすこととなったフランツの切なくも純粋な青春と、Black Lives matter運動がおこる現代への警鐘にも、心が突き動かされます。

日本では、2019年12月から翌年1月に、原作小説に忠実に石丸さち子上演台本・演出でリーディング公演として東京、兵庫で初演され[主演:末澤誠也(Aぇ!group)]、21年初頭にはローベルト・ゼーターラー本人による戯曲版を、石丸さち子の演出で、東京、兵庫、愛知、静岡、広島で上演されて大好評を博しました[主演:林翔太]。この度パルテノン多摩での新たな『キオスク』公演[主演:一色洋平]が注目されています!
魅力あふれる実力派キャストが勢揃い!


出演は、近年舞台作品を中心に目覚ましく活躍する一色洋平、トレンディードラマで一世を風靡し、現在も映像作品、舞台の話題作に主要な役で出演している石黒 賢、宝塚歌劇団トップスターとして活躍、退団後も多彩な舞台、映像作品に意欲的に出演する壮 一帆、戦隊シリーズや2.5次元作品で存在感を示し、その他の数々の舞台に出演を重ねる陳内 将、演劇界を牽引する演出家の作品に出演が続き注目される内田健司、所属する文学座の公演を中心に進境する小石川桃子。更に、本作の2019年のリーディング公演、21年の戯曲版日本初演において卓越した演技で作品の支柱であった他、各々多くの舞台作品、映像作品で活躍を続ける一路真輝山路和弘が出演します。

1937年~38年、時代の渦に翻弄されるウィーンの人々を、静かに鮮烈に、石丸さち子と実力派俳優陣が描き出す感動作にご期待ください!


1937年、ナチスドイツが台頭するオーストリアのウィーンに、自然に恵まれた湖畔で母親と二人暮らしだった17歳のフランツがやって来る。母の経済的後ろ盾の男性が落雷事故で急死し、働きに出されたのだった。

フランツはキオスクの住み込み見習店員となり、母の知人である店主オットー・トゥルスニエクがさまざまな事を教え、自立の扉を開き、大人の世界へと導く。

また、店の常連客である精神分析学者フロイト教授との出会いは無垢なフランツにさまざまな影響をもたらし、教授は彼に人生を楽しみ恋をするよう忠告する。ボヘミア出身で謎めいた女性アネシュカに心を奪われるフランツ。アネシュカは葛藤を抱えながら、激動の時代を生き抜く強さをもフランツに示す。また、遠く湖畔に暮らす母親はフランツから届く絵葉書が心の支えだ。

フランツにとって予期せぬオットー・トゥルスニエクとの別れ、そこで知るオットーの気骨ある生き様と葛藤、人生の岐路や不条理。人生に関する名言が印象的な最晩年のジークムント・フロイト。二人に影響を受けながらフランツは、時代の激動にのみ込まれるオーストリアのウィーンで青春の炎を燃え上がらせながら、厳しい世情の中、思いがけない経験を重ねていく・・・。